脅しや圧力のような心理的脅迫する他者から身を守るための本
人間関係に波風を立てたいと思う人はいないですよね。
その為にはお互いを尊重した付き合いが必要です。
しかし世の中には、相手の都合お構いなしに自分の要求を押し付けてくる人がいます。
そのような人は、「恐怖心」を煽る明らかな脅し・脅迫だったり、「義務感」や「罪悪感」を刺激するような言い方や態度をとって、何としても自分の要求をのんでもらおうとします。
こちらの気持ちを全然酌んでくれないので、ストレスは溜まるし嫌な気持ちになりますよね^^;
たまたまのケースなら譲歩することもできるのですが、そのような要求が常習化する人もいます。
「ちょっとの事だから私が我慢しさえすれば・・・」
と、自分が折れることでその場を収める対処を続けることが、要求の常習化を招くことに繋がるのです。
そうなると、今後も自分を犠牲にして生きていかなければいけません。
対処療法での一時的な安定ではなく、健全な人間関係を築きたいものですよね。
この本は、このような「心理的脅迫」に屈しないための対策が書かれた本です。
なぜそのような心理的脅迫を行うのか、それを分析することができ、対処法を学ぶことができます。
日常に潜んでいる心理的脅迫(ブラックメール)
- 「これくらいあなたなら簡単だよね?やっといてくれる?」
- 「あなたは自分さえよければ良いの?」
- 「言うことを聞かないなら○○するよ!」
こちらの都合をお構いなしに自分の都合で投げかけてくる厚顔無恥な人の言葉。
このような心理的恐喝のことを、この本ではエモーショナル・ブラックメール(以下 ブラックメール)と呼びます。
僕の場合も、親戚に、
- 「○○してくれても良いんじゃない?」
- 「○○な私の気持ちわかる?」
と、僕とは全く関係のないことを、被害者面して自分の望む形で僕に解決してもらおうと心理的圧力をかけてくる人が一人います^^;
相談にのるのは構わないのですが、そのうち要求がエスカレートしてくるんです。
内容はどうあれ、望む形で答えてあげられないことで責められると、自分に落ち度があるのかと一瞬判断が曇りそうになります。
でもよくよく考えると、僕が責任を持つことではないことを思い出すんですね^^;
一応できないこと・やりたくないことは断りますが、理解してもらうのに時間がかかりますのでやりとりが大変です><
無理やり終わらせなければキリがないないこともあって、仕方なく強引に終わらせることもあるのですが、そうなると話が終わった後もモヤモヤ感が残って無駄な時間を過ごしてしまいます。
このように、なぜお互いが嫌な気持ちになるのか、それは、一方がもう一方の犠牲のうえに自分の思いを通そうとするからです。
ブラックメールを投げかけると、
「私の言うとおりにしないと、あなたは苦しむことになるよ」
と直接的・間接的に、相手を罰するメッセージを送ることができるので、私達の心をあやつる強力な手段になりえるわけです。
そんな手段をとると、人間関係が上手く続かないことが普通なら予想できますが、ブラックメール発信者は今の状況に反応しているのではなく、発信者の過去のトラウマか何かに反応しているので、先のことを考える余裕はないのです。
なので、そもそも相手自身の問題なんです。
相手の要求を引き受けなかったとしても、引き受けるいわれのない罪悪感を抱く必要はありません。
自分でトラウマを乗り越えていかないといけないことなんです。
判断を曇らせるFOG
ブラックメールをつきつけられると、僕もそうなるように判断を鈍らせてしまいます。
たとえ普段優秀な人であっても、思いがけない反応をするそうです。
それはブラックメールの周りにFOGという霧がかかるからです。
FOGというのは、
- 恐怖心(Fear)
- 義務感(Obligation)
- 罪悪感(Guilt)
というもの。これを使って揺さぶるわけです。
厄介なのは、ブラックメール発信者が悪意を持ってブラックメールやFOGを発信しているわけではなく、無意識にやっているということです^^;
悪気はないんですね><
でも、僕たちはFOGの霧がかかると、前が見えないので判断を誤りそうになります。
そうなると、ついつい
「わかったから、それで良いよ」
と、自分を犠牲にして要求を受け入れてしまうわけです。
それは、最初は小さなことから始まるかもしれませんが、次第に雪だるま式に大きくなっていくことがあるので要注意なんです。
ブラックメールの犠牲者にならないためには?
不幸にもブラックメールを受け取る立場になっても、きちんと対処法を知っていれば不要な不安に襲われたり、自分を犠牲にする必要はありません。
僕の場合、「罪悪感」を持ってしまいそうになることがあるということ、そしてあまりに責任を押し付けられそうになった時に、相手の非を正そうとして口論になることがあります。
なので、今まで通り揺るぎない自分の考えを通すのと同時に、上手なやりとりが出来るような戦略が必要でした。
この本には、色々なケースでの対処法が書かれていますが、ここでは僕が取り入れたいと思ったやり方をピックアップしてまとめます。
ブラックメールをつきつけられても何も判断しない
まず、ブラックメールをつきつけられても、相手の要求に対してすぐに判断しないようにします。
大抵は白か黒かの選択で迫られますが、
- 「今すぐに返事できないからもう少し考える時間が必要です」
- 「今決めるつもりはありません」
など、急いで決断することをは避けるようにします。
質問されたからといってすぐに答えなければならない、ということはほとんどの場合ないからです。
FOGに取り巻かれると、感情に流されて、認知力がばらばらになったり、ゆがんだ解釈をしやすくなります。
感情を切り捨てろというわけではないですが、感情だけだと判断を間違えてしまうわけです。
なので、感情だけでなく、認知力と理性を持ったうえで考えればゆがむことはありません。
相手の要求を分析するには必要なだけ時間をとって考えることが大事です。
その上で譲歩できるところは譲歩し、譲れない所は譲る必要はありません。
気をつけたいのは、何も考えずに圧力を受けて譲歩するのと、考えた上で譲歩するのとでは全然違うということです。
考えた上で譲歩できるものは譲歩します。
自己防衛的でないコミュニケーションをする
相手の要求をたたみかけるように自己正当化して弁明しようとすると、主張のぶつかり合いになってしまい、次は自分がブラックメールの発信者になってしまいかねません。
まさに火に油の注ぎ合いです。
なのでここは、自己防衛的でないコミュニケーションを行います。
この本によると、下のような言葉なんだそうです。
- 「あなたが怒っているのは残念だわ。」
- 「きみがどうしてそういう見方をするかは理解できるよ。」
- 「それはおもしろいね。」
- 「ほんと?」
- 「怒鳴っても(脅しても、引きこもりをしても、泣いてみせても)、もう効かないし、それじゃ何も解決しない。」
- 「あなたの気持がもっと穏やかなときに話し合いましょう。」
- 「まったくきみの言うとおりだ。」
僕の場合、
「そういう捉え方をするのは残念だ。」
という言葉はもともとよく使っています。
意識はしていませんでしたが確かに効果的ではあったんですよね^^
そしてこの中で一番自己防衛的でない反応は、
- 「まったくきみの言うとおりだ。」
なんだそうです。
これは、たとえ自分は本気でそう思っていなくても言うことで効果を発揮するそうですが、ちょっと抵抗ありますね^^;
でも、使っていくうちに違和感はなくなるそうです。
大事なことは、自分の決断や自分自身を弁明したり、説明してはいけないということです。
「なぜ?」という質問に「なぜなら」という形で答えないこと。
上のような言葉を上手に利用しながらすり抜けるようにします。
でも、それだけだと相手は相変わらず「なぜ?」「どうして?」と激しく決断を迫るかもしれません。
そんな時は、相手の言うことに反応せず、
- 「この件についてあなたが喜ばないだろうことはわかるわ。でもそうでなければいけないのよ。」
- 「この問題に悪者はいないわ。あなたと私では求めることが違うだけよ。」
- 「僕は責任の50%以上を引き受ける気はない。」
- 「君と僕とでは物の見方が違うんだ。」
- 「残念だわ。あなたが動揺して。」
と、考え方や価値観の違いを説明するにとどめます。
そうすることで自分の目的に焦点を絞ることができ、自分の下した決断を表明することができます。
ブラックメールをやめさせたいのなら、自分の同意できない内容に踏み込んではいけないのです。
罪悪感が適正なものか、状況にそぐわないほど過剰なものかを調べる質問
相手の要求をのまず、自分の下した決断に従うと、相手は不快に思うでしょう。
そして、自分も罪悪感を感じることもあります。
僕の場合もまさにそのタイプ^^;
悪いことをしているのではないと頭ではわかるのですが、後味が悪いんですね。
なので、そんな時はこの質問を自分に投げかけます。
自分のしたこと、あるいはしたいことは、
- 悪意のあることか?
- 残酷なことか?
- 虐待的なことか?
- 相手を侮辱する、見くびる、あるいは相手の品位を傷つけることか?
- 相手の幸せを本当の意味で損なうことか?
この質問に全部Noと答えられるなら、今抱いている罪悪感は過剰な罪悪感です。
それは抱くに値しないものです。
たとえそれが相手の気に入らないことであっても、です。
相手を傷つけたりおとしめたりしようとしているわけではありませんからね^^;
相手が否定的なことを言ってきても、それは事実ではなく意見にすぎないので、気にする必要はありません。
ブラックメール発信者とやりとりするにあたって、不快になったりストレスがたまったりするのは、相手の要求する内容そのものよりも、その要求の出され方(スタイル)に問題があると感じるからですよね。
ブラックメール発信者の背景やそのしくみを理解することができれば、取る必要のない責任やいわれのない罪悪感で苦しむことなく、スッキリしますね^^
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